大学攻防戦

この週末は、デモの新局面を迎えました。簡単に経緯と背景をまとめます。

 

◆中文大学編

 

先週に戦場となった香港中文大学。世界ランクでは東大に比類する名門大学です。

ここがデモ隊の拠点となり、大学近くの最寄り駅(今月初めまで通勤で使っていた!)を破壊し、幹線道路の通行を妨害していました。

警察が攻め込むと大学に籠城し、アーチェリーや火炎瓶、レンガの投擲で対抗します。

 

デモ隊がなぜこのような行動に出るのかは、以下と思われます。

 

① 香港経済にダメージを与えて、香港政府、中国政府を脅かし、デモ側の要求を呑ませる。

② 仲間が殺された(?)仇を討つ。

③ 香港警察を痛めつける。

 

②③については感情論ですね。

①については、残念ながら効果も可能性もゼロです。

香港経済はかつて中国全体の30%を超えた時代もありましたが、現在では3%程度です。

香港の価値は、富を生み続ける金融システムに尽きます。

これまでのデモで、これにダメージを与えられたことはありません。8月頃に、一斉にATMからお金をおろすとか、米㌦に換金するなどの呼びかけがありましたが、効果なく終わっています。

正直私には、デモ隊は感情論だけで暴力を先鋭化させている状態、としか形容できないのです。

 

逆に、警察がデモ隊が控える大学を攻める理由は以下と思います。

 

① 交通妨害を止めさせる。

② 大学の占拠を止めさせる。

③ 武器製造と貯蔵拠点として摘発する。

 

日本向け文宣部隊として唯一めざましい働きを見せるアグネス・チョウ*曰く、中文大学にある香港のメイン通信サーバーを警察が狙っていて、これを抑えて香港の通信制限をするとか。 

f:id:MsWalwara:20191118200413j:plain

優秀な文宣隊員アグネス・チョウ

その後、警察が中文大学を陥落しましたが、特にそうした話は出ていないので、まあいつものガセでした。

 

結局中文大学は、デモ隊が16日朝に逃走し、全面衝突することなく陥落しました。

 

◆香港理工大学編

 

こちらは現在進行形です。

デモ側は、大学近くにある九龍半島と香港島がつながる海底トンネルに石を撒き火を点けて、交通妨害することが目的です。

 

そうはさせじと警察が大学に攻め込んで、デモ隊は大学に丸一日以上立て篭もっています。17日の夜に警察が投降を呼びかけましたがデモ側は拒否、警察が大学を包囲し続ける持久戦となっています。

 

大学から脱出を試みるデモ隊も居るようですが、ほとんど逮捕されるか大学に逃げ戻るようです。学内のデモ隊を支援しようと近くに他のデモ隊が集結しており、今夜も激しい攻防戦になりそうです。

 

会社のスタッフに確認したところ、18日の交通は先週よりも改善されたので、無事に出勤できたそうです。こうしたしわ寄せはいつも庶民に集まります。デモ隊はこうした意見には、

 

・香港の自由を守るために、ある程度経済が犠牲になるのは仕方がない。

 

と回答するようです。デモ隊の多くは経済活動をしない学生か、卒業間もない若い年代です。そうした彼らが経済を値踏みできるのかは疑問ですし、そもそも勝てない戦いに払った犠牲に対して、どう責任を取るのでしょうか

 

理工大のデモ隊が逮捕され、法の下適切な裁きを受けること、香港の治安が落ち着いて問題なく日常生活が送れることを希望します。