海外駐在員として働いてみて~会社編~

2年前、40歳になって初めて海外で働く事になりました。

 

赴任先は販売会社で、人事、総務、IT、財務、営業管理の責任者です。日本では本社財務で顧客の与信管理を担当していたので、一気に担当範囲が広がりました。

社員は50人弱、部下は10人います。9人の女性と男性の運転手さんの部署です。

 

仕事にも環境にも慣れて、それほどストレスを感じずに暮らしていますが、始めの半年~1年はそれなりに大変で、精神的に追い詰められることもありました。

 

そうした中で、仕事や生活で心がけていること、実践していることを紹介してみます。

 

◆会社編◆

1. 社員の人格を尊重する

当たり前のことですが、昔の駐在員にはできていない人が多かったと聞きます。

駐在員は、赴任先では管理職です。日系企業であれば、日本人だけが知る重要な情報も多いです。日本人のグループに居るだけで、優越的な立場にいると勘違いする人がいたのかもしれません。

部下を見下したり馬鹿にしたような上司の下で、誰が頑張って働くでしょうか?香港は転職社会ですので、さっさと辞めていくでしょう。

それよりも、縁あって同じ会社、同じ部署で働く事になった同士として、お互いの人格を尊重しあいながら、お互いのベストを尽くして、部署としていいパフォーマンスを上げることを目指すべきでしょう。信頼され任されると、人は前向きになって、やる気を発揮すると思います。

そうした環境を作ることが、上司の役割です。

 

2. ハラスメントをしない

これも当たり前ですが、特に海外では文化的な背景が異なるため、アウトのラインの線引きが難しく注意が必要です。

香港では女性の立場が強いので、セクハラは一発退場です。疑われるようなこともNGです。ローカルスタッフ用のSNSツール(WhatAppのグループ)でたちまちに噂が広がり、その後信頼関係を築く事が困難になります。

とにかく、ローカルスタッフ間の情報共有は徹底されており、給料も見せ合うようです。普通にしていてもあらぬ噂を立てられますので、よほど気をつける必要があります。

 

* 会社の移転先を検討していたとき、一部のスタッフが私のアパートの隣りに移転するに違いない、と噂していました。理由は私の通勤が楽だからだそうです。根も葉もなく、実際に移転したのは別の社員の間で一番人気の場所になりました。

 

3. 仕事ができるところを見せる

駐在員の給料が高いことは、ローカル社員も知っています。私の場合、日本で年収950万くらいでしたが、駐在員になって1,600万円になりました。ローカル社員よりもかなり高く、その分パフォーマンスが期待され、納得させられるだけの成果を出す必要があります。かつ、部下が困ったときには一緒になって解決する頼りがいも欲しいです。

勘違いな日本人駐在員は、それを労働時間で証明しようとするのかもしれません。やれ~時まで残業したとか、土日も働いたとか。残業を肯定的に捉える社会は世界にそう多くはありません。というか、日本以外に私は知りません。

日本の文化を否定するつもりはありませんが、海外でそれは通用しませんので注意が必要です。また、日本人も短時間で成果を出すことを志向した方がいいと、個人的には思います。

とはいえ、ずっとその会社で働いているスタッフに仕事で尊敬されるのは、なかなか簡単ではありません。赴任当初はとにかく目の前の仕事の習得に全力を注ぎ、そこに日本で培った知見を組み合わせることで、業務改善、コスト削減、新しい仕組みの構築などを実現したいところです。

 

4. 自分を追い込まない

駐在員の仕事の多くに、日本からの依頼への対応があります。様々な部署から勝手な納期をつけて、有無を言わさず要求してきます。中にはどう考えても無駄なものや、複数部署で重複したもの、できる訳のない短納期なものがあり、真面目に対応していては身が持ちません。

そこで、

・優先順位の低いものは最低限で済ませる

・納期が守れないときは相談する、もしくは催促されてから対応する(大事な仕事なら催促するはず) 

・とにかく気楽に考える(世の中に大事な仕事はそう多くはないし、ダメでも遠くにいるので怒鳴り込まれることもない)

 

 

国や職種によって違うのでしょうが、私の場合はこのような感じです。

日を改めて、◆生活編◆を書いてみたいと思います。

 

今日の一枚

f:id:MsWalwara:20191207232516j:plain

ミュシャの挿絵ってセンスエグくないですか?大好き。