香港の優秀な新型コロナ対策

◆新型コロナ対策

香港では7月中旬から、第3波と称される新型コロナの感染者増が起きています。

今回の原因は、航空業界関係者といった検疫免除者から感染が広がったと言われています。(現在は検疫必須に変更)

現在実施されている対策は以下となります。

 

・飲食店の営業制限

  - 午後6時~午前5時まで店内飲食禁止

  - 1テーブル2人まで、1.5メートル間隔、収容人数半分

・サウナ、カラオケ、ジム等の営業停止

・公務員の在宅勤務、民間企業への在宅勤務推奨

・学校の無期限登校停止

  - オンライン授業の実施

・マスク着用の義務化

  - 違反すると罰金

  - 野外での喫煙禁止、ランニング・ハイキング中も必須

・公共の場所で3人以上の集会禁止

 

徹底して抑え込みを図っています。

日本のような、経済活動の制限に関する議論は無い訳ではないですが小さいです。

社会全体で、ウイルスの抑え込み策に対するコンセンサスが取れている印象を受けます。

 

よく、香港はSARSの経験から市民の防疫意識が高いと言われており、これは確かに感じます。

ドアを開けるときにティッシュを使って直接触らないようにしたり、足で開ける人をよく見ます。マスクも義務化する前からほとんどの市民がしています。

 

この成果もあり、7月後半から1日の新規感染者数が100人を超えていましたが、ここ1週間は65~95人と二桁台に落ちてきました。

今回も香港は新型コロナを乗り切りそうです。

 

一方日本では、要請しかできない政府の権限の弱さと、根強い経済至上主義から対策が後手に回っています。

日本ではなぜ「経済を回す」と誰もが口にするのか疑問でした。

これは香港にとってSARSがトラウマのように、日本ではバブル崩壊からリーマンショックまでの経済不況がトラウマなのかもしれません。

不況で塗炭の苦しみを味わった人々と、運よく逃れてもそれを身近に感じていた人々が、共通して「不況で人は不遇となり、最悪死ぬ」という経験を持っているので、「経済」という言葉に弱いのだと考えます。

 

一方、香港でそうした声が小さいのは、元来香港人は経済に関しては自己責任主義が強いためと思います。

元々政府は手厚いサポートをしない小さな政府なので、香港人は常に自分で自分の身を守ることを考えています。毎週末に親族が集まって飲茶をするほど家族のつながりが強いのはこのためです。

 

こうして市民の活動を効果的に抑制できた香港は、もうしばらくすれば状況も落ち着いて通常生活が戻るのでしょう。ロックダウンをせずにウイルス禍をコントロールしている香港政府は優秀だと思います。

 

日本の対策は遅く後手に回っており、状況はじわじわと悪化しています。

経済に遠慮をしているのでしょうが、それが余計に経済にダメージを与えているように思います。

ロックダウンや極端な活動自粛をしなくてもうまく運営している国が近くにあるのですから、もう少し見習った方がいいのではないでしょうか。